ごまめの旅日記

街道等の歩き旅を中心に旅の記録を紹介します。

旧街道歩き旅のススメ(本格編)

 

 今回は、本格的に「旧街道歩き旅」をやってみようと思う人向けに、私の旅行方法を紹介したいと思います。すでに街道ウォーカーになっている人にも、参考になれば幸いと思います。

本日の内容は以下の通りです。

1 旅の方法

2 ルート検索の方法

3 季節や時刻

4 装備及び服装

5 食事

6 宿

 

1 旅の方法

 日本橋をスタートして、数週間かけて、一気にゴールの三条大橋まで歩くのが一番良いのですが、職業を持っている人には不可能です。

 そこで、

 休日を利用して、鉄道等の交通機関で、スタートの地点に行き、そこから、旧街道を適切な道のり分歩いてゴールし、近くの駅またはバス停から帰宅します。

 東海道京急線JR東海道線中山道はJR高崎線日光街道奥州街道)は東武伊勢崎線JR東北線甲州街道京王線JR中央線というように、街道と並行して鉄道路線が通っており、多くの旧宿場町に駅があります。

例を挙げると下の表のようになります。

東海道

宿場

品川宿

川崎宿

神奈川宿

程ヶ谷宿

戸塚宿

京急新馬場駅

京急川崎駅

JR川崎駅

京急神奈川駅

JR保土ヶ谷

JR戸塚駅

 

中山道

宿場

板橋宿

蕨宿

浦和宿

大宮宿

上尾宿

都営三田線板橋本町駅

JR蕨駅

JR浦和駅

JR大宮駅

JR上尾駅

これを休日ごとに続けていきます。

 

 自宅から遠くなると、スタート地点まで行く時間と交通費がもったいないので、その日のゴール地点で宿泊して先に進むようにします。連休を利用します。

例  2泊3日 

   小田原宿 →歩く→ 箱根宿(宿泊)→歩く→ 三島宿(宿泊)→歩く→ 沼津宿

 こうなると「旅」という感じになりますね。

 

 江戸時代には各宿場に必ず宿泊施設(旅籠や木賃宿)があったのですが、現代では、宿場に宿があるとは限りません。また、地方へ行くと、街道に鉄道路線が並行していない場所がでてきます。ここが難しく、かつ、面白いところです。自分の徒歩力と相談の上、どこからスタートしてどこで泊まって、どこまで行くのか、宿泊地と鉄道やバス路線を考えながら戦略を立てます。

 どのような戦略を立てるか。主要な東海道中山道では、多くの人がネットに旅行記をアップしているので、それらも参考にできます。

 戦略を立てて実行すること、これが旧街道歩き旅の最大の楽しみです。

 戦略の楽しみについては後ほど詳しく。

 

2 ルート検索

 せっかくなので、できるだけ江戸時代のルートを辿って歩きたいものです。これも、ありがたいことに、ほとんどの街道で、どなたかがルートを調べて、ネット上にアップしてくださっています。(感謝!)(例えば「旧東海道ルート」「旧東海道地図」というワードで検索するとヒットします。)

 これを頼りにルートを決めます。実際に歩くときには、今は、スマホで、地図上の自分の位置がわかるので、非常に楽になりました。ただし、いくつかの情報を見比べると、違っている場合があります。江戸時代は260年もあったので、その間にルートが変わっていたり、あるいは、現代の道に置き換えるときに、置き換える道が違ったりしているのです。見比べながら、自分のとるべきルートを決めて行きます。

3 季節や時刻

 できるだけ、よい季節のよい天候の日に歩きたいものです。春の大型連休は最適です。秋の3連休もいいですね。しかし、数日かけて歩こうとした場合、お盆休みや年末年始の休暇を使うしかないことがあります。この場合、夏は猛暑と格闘しなければなりません。年末年始は、寒さと闘うことになります。また、計画した日がたまたま雨や雪の場合があります。強い風の日も辛いものです。安全第一で、自分の体力を考えて決行するかどうか判断する必要があります。

 時刻については、アクシデントも考えて、早めに出発して、日没までには宿につきたいものです。列車やバスの時刻にも注意が必要です。地方に行くと、1日に数便しかない場合があります。あらかじめ発車時刻を調べて利用しましょう。

4 装備及び服装

(1)シューズ

 一番大切なのはシューズです。10km以上となるとそれなりの靴が必要でしょう。楽に歩ける靴を自分で探すとよいと思います。ちなみに、私は底が厚めのジョギングシューズを履いています。五本指ソックスは、マメの防止に有効のようです。しかし、五本指ソックスを履くと、つま先部分が幅広になってしまいます。つま先が幅広のシューズは意外に少ないです。Topoのシューズはつま先がゆったりしています。https://www.topoathletic.jp/index.html

 

(2)服装

 それほどスポーティーな服装でなくても大丈夫ですが、長時間歩くと意外に暑くなるものです。調節ができるようにしましょう。下着は速乾性があって、濡れても冷えないものを。夏場は熱中症及び紫外線対策を。風雨の影響を受けるので、真夏以外はウィンドブレーカー。なるべく軽量の折りたたみ傘。冬でも、結構熱くなります。保温性、防風性に加え、通気性がよいものが快適です。

 

(3)装備

 水筒が必要ですが、街場では途中のコンビニや自販機を利用すれば必要ありません。

 数日かけて歩く場合は、着替え等を背負って歩かなければなりません。登山用のリュックサックが楽です。よく考えてできるだけ荷物を減らしたいですね。

 はじめに宿泊地に行って荷物を預け、交通機関でスタート地点に戻って歩くという手もあります。

 参考までに私の装備を記しておきます。(2泊3日程度の場合)

・リュクサック(フレームの入った軽量な登山用を使っています。)

 

・着替え(季節により異なりますが、なるべく少なく、軽量なものを 靴下は数種類)

・折りたたみ傘、帽子(冬は耳を覆えるもの)、冬は手袋

・記録用のカメラ スマホでも可

(これは、私のこだわりで、iPhoneのカメラは、画像がギザギザで好みません。軽量な一眼レフカメラを携行しています。)

・履き替え用のサンダル

(ホテルに着いたあと、足が痛くてシューズが履けない時にあると楽)

iPhoneとカメラの充電器

iPhoneのマップに頼って行動するため、ホテルに着いたら必ず充電を、最近はAppleWatchも使っていますが、これを使うとバッテリーの消耗が早まります。)

・財布、現金、クレジットカード、保険証(アクシデントに備えて)、運転免許証(クルマを運転しなくても身分証明のために役立つことがあります。)

5 食事

 食事は、旅の楽しみの1つです。旧街道には、江戸時代から続く、各地の名物があります。例えば、小田原の蒲鉾、静岡の安倍川もち、桑名の焼き蛤などは全国的に著名です。街道沿いは、エネルギー補給のために餅が名物となっているところが多くあります。せっかくだから味わいたいものです。

 しかし、歩いている途中で、あまり食べてしまうと動けなくなるので、程々に。また、ちょど良い時刻に、食べるところがない場合があります。地方へ行くと、食堂もコンビニもないとところがあります。

 私は、地方に行ったら、あらかじめ地図で昼食の場所を検討つけておきます。コンビニがあれば、2時間おきくらいにコンビニに寄ってトイレを借り、飲み物を補給し、お腹が減れば少し食べるようにしています。コンビニは、旧街道でなく、主要国道沿いにあります。地域の名物は、その日の歩行が終わってからいただくようにしています。

 

6 宿

 江戸時代から大きな宿場だったところは、現在でも地域の主要都市の場合が多くあります。そこは、多くの場合、駅前にビジネスホテルがあります。利便性や経済性を考えるとビジネスホテルが有利です。しかし、どうしてもない場所があります。そのようなところでも、細々と経営している旅館があります。街道ウォーカーのためには、非常にありがたく、ぜひ、頑張って続けてほしいと思います。そのような宿を支援するためにも、多くの方に街道ウォーカーになってもらいたいのです。これらの宿に泊まるのも旅の楽しみの一つです。

以下に、私がこれまでお世話になった旧街道沿いの旅館を紹介します。

 

中山道・和田宿「本亭旅館」さん

 旅籠の建物を使った旅館です。2階のやや天井が低い部屋は、かつての旅籠そのものです。和田峠を攻略するためには、なくてはならない宿です。しかし、残念ながら2015年に営業を終えたそうです。残念。



中山道細久手宿 「大黒屋」さん

 中山道は、岐阜県の大井宿の先は、中央線が通る土岐川に沿って進むのではなく、北側の山地をまっすぐ可児市のある平地に向かいます。途中、山の中に大湫宿細久手宿があります。大井宿から名鉄広見線の駅がある御嵩宿まで、30kmちょっとです。健脚の方なら一気に行ってしまう道のりですが、アップダウンが多い地形なので、途中で宿泊したいところです。ちょうどその行程の中間あたりの細久手宿に、尾州本陣屋敷を受け継いだ味わい深い旅館「大黒屋」があります。本格的な本陣よりこじんまりしていますが、当時の本陣宿の様式を見ることができます。江戸時代の格式ある宿所に泊まれるだけでも価値があると思います。現在も営業しているようです。昔の様子を話してくださった大女将の房子さんは、ご健在でしょうか。

 

hosokutedaikokuya.web.fc2.com

 

 

奥州街道 三戸駅前 「清水屋旅館」さん

 明治25年創業の老舗旅館で現在も営業中です。三戸駅は南部町にあり、三戸市街地とは少し離れています。旧奥州街道の「戸」区間(一戸 二戸 三戸 四戸、五戸、七戸)を歩こうとしたとき欠かせない宿です。

nanbu-shimizuya.com

 

羽州街道 七ヶ宿町 「ふれあいの宿七ヶ宿館」さん

 2023年の大型連休中にお世話になりました。羽州街道福島県桑折宿から宮城県七ヶ宿町を経由して山形県上山宿にぬけるには、欠かせない旅館です。七ヶ宿町は、街道、ダム、温泉施設など観光資源が豊富で、リゾート地としても魅力的です。

 

奥州街道 蟹田町 「中村旅館」さん

 太宰治の小説「津軽」にも登場する蟹田町奥州街道を青森から三厩まで歩くには、不可欠の宿です。2022年の8月に宿泊したのですが、宿泊中に大雨で避難指示が出ました。避難所までの送迎、お世話になりました。今度、蟹田からフェリーで下北半島へ行ってみたいと思います。

www.nakamuraryokan.com

 

奥州街道 平舘(たいらだて) 「ペンションだいば」さん

 同じく2022年の8月に宿泊する予定でしたが、土砂崩れのため断念。9月の連休でリベンジしました。

 ここも青森から三厩まで歩くには不可欠の宿です。静かな海辺のペンションで、すぐ脇に平舘灯台があります。イカハンバーグが名物です。夏のリゾート地としてもいいと思います。おかみさんには土砂崩れの現場を確認しに行っていただきました。ありがとうございました。

 

daiba-ikahan.co 

 

甲州街道 北杜市武川(むかわ)町 「旅館 近江屋」さん

 甲州街道韮崎宿から富士見宿の間の貴重な旅館です。小淵沢など中央線の駅前にはホテルがありますが、旧甲州街道から駅に行くには七里岩を上らなければならないので、できたら街道沿いの宿に泊まりたいのです。街道沿いは、キャンプ場は多いのですが、旅館は少ないです。

ryokan-oomiya.com

 中には、私一人だけのために営業していただいた宿もありました。大変お世話になりました。今後も、末長く、営業していただけることを願っています。

 

今回はここまでです。

次回は「旧街道歩き旅」の楽しみや経験したことなどを紹介したいと思います。