能代駅を出て、十二湖駅で下車し、有名な「青池」に立ち寄ります。
その後は、十二湖駅から木造駅まで五能線に乗車し、木造駅から徒歩で五所川原のホテルに向かうというプランです。
深浦あたりに宿泊したかったのですが、観光向けの宿泊施設が高額なので諦めて、五所川原のビジネスホテルに宿泊することにしました。
朝食を急いで済ませて、7:32発の五能線普通列車で、五能線の旅に出発します。
目次
1 五能線・十二湖駅まで
近頃のJR線は、ローカル路線でも比較的綺麗な列車が走っています。キハ40系がローカル線の代名詞だった頃とは違います。入線してきたのはGV-400系。ディーゼルエンジンで発電してモーターで走る新鋭機です。
ここで、五能線について述べます。
五能線は秋田県の東能代駅と青森県の川部駅を結ぶ全長147.2km、全線非電化単線の路線です。東能代側からと川部側の両方から延長が始まり、1936年に全通しました。山が迫っている海岸線を走るため、大雨、強風、波浪などにより運休されることが比較的多いようです。また、運転系統が深浦駅以北・以南で分かれています。観光列車の「リゾートしらかみ」は、東能代から川部、弘前を経由して青森まで通して運転されています。
五能線は、能代駅を出るとしばらく平野部を走りますが、東八森駅を過ぎると山地にぶつかり、左に迂回するとすぐ海岸線に出ます。この先は山地が海岸に迫っているので、海岸線に沿って走ります。右手は白神山地です。
そして、岩舘駅付近から海が見えるようになり、青森県へと入ります。大間越を過ぎて「十二湖駅」で下車します。
2 十二湖
この後は、白神山地の中の人気スポットである「十二湖」の探索に出かけます。子供の頃、社会科の地図帳で、まず「十三湖」を見つけ、その南に「十二湖」も見つけ、では「十一湖」や「十湖」もあるのかなと地図上で探した記憶があります。「十三湖」は2022年に訪れました。そして今回「十二湖」です。
十二湖は、1704年の能代地震の際の崩山の崩壊により造られた湖沼群です。ブナ林の中に33個の湖沼が認められます。面積が1万㎡を超える湖沼は12個あるとのことです。
標高の高いところにある「青池」の水の色が有名で、ここを目指す人が多いようです。
駅で、コインロッカーにリュックを預けて十二湖方面へ向かう準備をしていると、乗合タクシーの運転手が、声をかけてきました。同じ列車でついた人たちをまとめて、十二湖の駐車場まで連れていくとのことです。往路は歩こうと思っていたのですが、タクシーに乗ることにしました。
歩いたら1時間ほどの道のりですが、タクシーでは15分ほどで青池近くの駐車場に着きました。ここから「鶏頭場の池」の脇を通って「青池」に行き、ブナ自然林を通って「落口の池」に下るのが手軽なコースだということだったので、その通りに進むことにしました。
10分ほど歩くと青池に至りました。残念ながら写真で見るような青色ではありません。落ち葉が水面に浮いて、模様を作っています。近くにいたガイドのような人に聞いてみると、写真のような色になるのは春から夏にかけてで、この時期は、落ち葉の模様を楽しむ時期なのだそうです。
ブナ自然林に行くと、遊歩道の側に大きなブナの木が生えていました。もっと奥に入れば大規模なブナ林があるのだと思います。
この後、「沸壺の池」の側を通って、落口の池に下り、舗装道路に出ました。「沸壺の池」の水は、透明感がある緑色できれいでした。
そして、ビジターセンターとその脇のイトウの養殖場、「落口の池」「王池」と見て、道路の二股を左へ行って「八景の池」に至りました。ここから再び遊歩道に入り、15分ほど登って、日本キャニオン展望所まで行きました。
展望所からは、手前には崩落した白い崖が、その奥には崩山が聳え、大崩れの一部分が見えました。「キャニオン」と言っても「グランドキャニオン」とは比べるべくもないですが、森林の中に見える白い崖は異様な感じがあります。白いのは凝灰岩でU字谷になっているとのことです。これだけの厚さの凝灰岩が露出しているところは、日本では珍しいのではないでしょうか。
そして、舗装道路を30分ほど下り、五能線の線路脇に出ました。白神山地は、長く滞在して、登山や森林浴を楽しみたいところですが、今回の目的は「乗り鉄」なので、次の機会にしたいと思います。
列車の到着まで、時間があるので、すぐそばに「静観荘網元」という店で昼食をとりました。「おまかせ定食」が一番という話を聞いていたので、その「おまかせ定食」を注文。刺身、あげ魚、サザエとボリューム満点。これで1000円は確かに安いです。特にあげ魚が美味しかったです。
そして、12:10発の五能線普通列車で深浦方面へ向かいます。
3 五能線 十二湖駅〜深浦駅
この先、岩崎漁港から椿山にかけては、海岸線が西に張り出しています。したがって、岩崎漁港からは海の向こうに白神山地が見えるところがあるようです。JR東日本の「大人の休日倶楽部」の宣伝ポスターの中で、吉永小百合さんが、雪を抱いた白神山地をバックに写っているものは、岩崎漁港で撮影したものらしいです。
白神山地を主体に考えると、十二湖駅からウェスパ椿山駅まであたりが、最も景色がいいようです。本当は、この辺りに宿泊したかったのですが、残念です。リーズナブルな料金の観光客向けのお宿が、もう少しあるといいと思います。
ウェスパ椿山駅を過ぎると白神山地とはお別れです。次の深浦周辺は、海岸線に現れる巨岩が車窓からも眺められ、「絶景路線」が味わえるところです。列車は深浦駅で20分停車しましたが、時間があれば、下車して小1時間ほど海辺を探索したいところです。
4 五能線 深浦駅〜木造駅
この先も、海岸線を走り、絶景が続きます。千畳敷と鯵ヶ沢は、2022年にレンタカーで訪れています。今回も通り過ぎるだけで、ちょっと残念です。海に落ちる夕日も見てみたいです。
天気がいいので、海の向こうには北海道の松前のあたりが見えます。
鯵ヶ沢の手前からは、右手に岩木山が見え始めます。本日は雲がなく、山頂まではっきりと見えます。前回は、モヤがかかってよく見えなかったので、感動的です。
鯵ヶ沢を過ぎると、海から離れ内陸に向かいます。陸奥森田駅あたりからは、広々とした津軽平野の真っ只中を走るようになります。
5 木造駅
本日の宿泊地は五所川原ですが、2022年に訪れたときに行けなかった木造駅を見たいのと、五所川原市を別の角度から見てみたいことがあり、木造駅で下車して五所川原まで歩くことにしました。
木造駅は、近くにある亀ヶ岡遺跡から出土した遮光器土偶を大胆にあしらった駅舎で有名です。つがる市では、遮光器土偶を「シャコちゃん」と呼んで親しんでいます。
「遮光器土偶」とは、目にあたる部分が、イヌイットが雪中行動するときに着用する遮光器に似ている土偶のことで、東北地方のいくつかの縄文遺跡から出土しています。
木造駅のシャコちゃんは、写真やテレビの映像で見ていましたが、実際に見てみると思っていた以上に大きく、結構威圧感があります。しかも列車が近づくと目が光るらしいです。これは、市民にも賛否両論があるのではないでしょうか。
ちなみに、つがる市は、2005(平成17)年の「平成の大合併」で周辺の1町4村が合併して誕生した市で、現在の人口は約2万8千人です。「つがる」を市名にするにあたり弘前市あたりから苦情があったのではないでしょうか。
市の中心は、木造駅の北側に広がる旧木造町の商店街と思われます。が、1992年に「イオン」が最初に手がけた「イオンモール」である「イオンモールつがる柏」ができ、客足はそちらに持って行かれているのかもしれません。
6 つがる市から五所川原市へ
この後は、木造駅から北へ進んで、商店街の南端から西へ向きを変え、県道245号線でイオンモールを目指します。
商店街は、昭和感が漂う(寂れ感も伴う)落ち着いた街並みです。商店街から西へ行くと木造高校、警察署、消防署などがあります。次第に田園地帯に入り、北方を見ると津軽平野らしい風景が広がります。
五能線の踏切を渡ると国道101号線に出ます。この南側がイオンモールです。さすがに交通量は多くなります。ここからは、国道に沿って西へ向かいます。
国道沿いには、全国どこにでもあるような大型郊外型店舗が連なります。住宅はそれほど多くなく、街の中心が移っているという感じではありません。
つがる柏IC交差点から先は五所川原市となります。先に進むと岩木川に至りますが、岩木川の東岸にひとつの市街地が作られているといった印象です。
7 五所川原市
岩木川を越えて市街地に入ると、2022年に、国道339号線で駅前に入ったときと印象がかなり違いました。岩木川を越える乾橋と「立佞武多の館」の間がいちばん賑わっているようです。駅前まで行ってみると、やはり、駅前はシャッターが閉まっている店が目につきます。前回も述べましたが、駅前が寂れていると街全体が寂れているように見えてしまいます。
五所川原市は、平成の大合併の時に金木町と市浦村を吸収合併し、現在の人口は約4万8千人です。金木は隣接していますが、旧市浦村の地域は中泊町を挟んで飛び地となっています。挟まれている中泊町も旧市浦村を挟んで旧小泊村地域が飛び地になっています。なんか不便そうですが、どうなのでしょう。ちなみに、東に隣接する外ヶ浜町も、旧蟹田町、平舘村地区と旧三厩村地区が飛び地となっています。なんかスッキリしないです。市町村合併は、難しいですね。
時間があるので五所川原市街地を探索してみます。
初めに「吉幾三コレクションミュージアム」に行ってみました。入館料800円は、やや高いなと思い、入館はしませんでした。
吉幾三さんは、金木町の出身。父親は名手と言われる民謡歌手だったそうです。現在も金木町に「ホワイトハウス」と呼ばれる豪邸があるそうですが、そこにお住まいなのかは、私にはわかりません。「フォークミュージック」をルーツに持つシンガーソングライターでしたが、「俺は絶対プレスリー」や「俺さ東京さ行くだ」などコミック路線がうけてスターダムにのしあがったと記憶しています。その後「雪國」や「酒よ」といった本格演歌へ路線変更していきました。「津軽」を歌った歌が多いのがいいですね。
次に向かったのが「立佞武多の館」です。ここも入館料がかかるので入館しませんでした。付属する土産物店で商品を見ました。
「立佞武多」は見たことがありませんが、すごいのでしょう。しかし、年に1回だけ開催される行事だけを観光の目玉にするのことは、疑問に感じています。その時だけ大賑わいで、その他の日は閑散としているのでは、観光収入も大して期待できないしょう。五所川原に限ったことではありません。横手のかまくら、大曲の花火、秋田の竿燈などなど。青森と弘前は、ねぶた(ねぷた)以外にも観光資源がありますが、秋田市は、結構危ういように感じました。それぞれ、その地域の持つよさがあるので、その地域まるごとのよさを理解してもらうようにする必要があると思います。
五所川原には、南方に「エルムの街」が造られ、「イオンモールつがる柏」以上に賑わっていると聞いています。残念ながら行ってみる余裕がなかったのですが、こちらの方に新興住宅地も造られているようです。若い家族は、近くにイオンモールがあるような新興住宅地に住みたい(実際、新興住宅地の方が購入しやすい)のだと思いますが、災害や地域振興のことを考えると、駅前の昔から人が住んできた地域が栄えるような政策をとったほうがよいと思います。
この後、今晩の宿泊地である「ホテルサンルートパティオ五所川原」に向かいました。サンルートは駅近くに「ホテルサンルート五所川原」があり、ちょっと紛らわしいです。「パティオ」は市役所を通り越した南にありました。
市役所の庁舎は、新しく現代的な建物でした。
ホテルの窓からは岩木山がよく見えました。
本日の徒歩の記録
スタート JR五能線 木造駅 14:30
歩いた道のり 約6km 歩いた時間 約1時間30分